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2017年9月28日木曜日

Vaio S11にLTEを設定

S11を買ったからにはLTEをいれないと意味ないので、各社見比べて、現時点でこちらの目的に最も合いそうなエクサイトを選択。たまに使うという程度なので、使わないときは最小の値段にという条件で調べると、従量課金のほうがよさそう。申し込んで、6日後にdata専用SIM到着。 接続開始となる次の日に、まずエクサイトのマイページで契約完了を確認して、SIMを挿入。白いので後ろから見るとちょっと目立つけど。

ここからが難題でした。APNを「ネットワークとインターネットの接続」から入って、携帯電話のところから設定するのですが、NTTDOCOMOの、切断済み、の文字が消えません。そのうえに既定のAPNというのがあり、その下にNTTDOCOMOのAPNがあり、いれた内容は入ってるように見えますが、気になったのはNTTDOCOMOの後ろに(HSDPA)というのがついてること。なんだかわかりませんが、どうもこのAPNが正しく認識されてない模様。

ではそのうえの「既定のAPN」を削除してAPNを作り直せば、その下が有効になるだろうと、削除しようとしても、これの「削除」アイコンが操作できない。その上、NTTDOCOMOのAPNを入れ直そうとこちらを削除しようとしてもできない。新規にAPNを入れようにもできない。

しばらく考えて、これはAPNを使っているから削除できないことにようやく気がつき、この「携帯電話」の接続を切って、他のネット情報から機内モードをオンにしてからいったんオフにして、WiFi接続を入れました。この状態でAPNの設定を見ると、相変わらず、「既定のAPN」はでてますが、少なくとも、NTTDOCOMOのAPNは消すことができました。それで新たにANPを入れ直して、保存。今度は、「既定のAPN」はその上に相変わらずでてますが、なんだかその前とは違う印象。よく覚えてないけど。

そこで、WiFiをきったところ、今度はあっさり、NTTDOCOMO(LTE)と表示が出て接続完了。やはり(HSDPA)がでてるときはだめらしい。HSDPAが何なのかわかりませんが、とにかく、接続できました。

ともかく、これでWiFiがなくてもネットにつながるようになりました。NTTの回線なので、これまでのWiMaxよりも格段に範囲が広がります。ようやく新幹線の中でも使えるようになったかな??ネットの評判通り、かなり高速です。ただ、これでリモートデスクトップをするとえらいことになるので、気をつけないといけません。


追記
エキサイトモバイルのこの契約は正解でした。接続が素早く、WiFi並で、当然ながらWiMaxと比較にはなりません。こんなに違うものかと驚きでした。毎月余らせてるので、2G使えますが、ほとんど仕事と家の往復だからというはあるにしても、車の中でも良く使うし出張の時でもつけっぱなしですが、500Mにもなりません。普通のブラウジングやメールで使う通信料はしれるようです。YouTube程度ならおそらく相当見てもまったく余裕。ダゾーンだとどうなるのか知りませんが。リモートデスクトップで心配と上に書いてましたが、全くの杞憂でした。短い時間にしてもよく使ってますが、たいしてかかりません。これで月々500円くらいとは。

2017年9月23日土曜日

エチブロに代わるDNA染色試薬 追記240930

研究系掲示板で度々話題に上がるのが、DNAをどうやって染めるか。これまで使ってきたエチブロでいいものか。実質安全だから使い続けても良いという主張と、変異原性ははっきりと証明されてて、これだけいろんな安全な代替試薬が出てるんだからそれに切り替えるべき、という主張の対立が長く続いてました。いまではエチブロを使い続けてるところはさすがに少ないと思いますが、では何に置き換えるかは悩ましいまま。

うちのラボではずっと以前から、紙にエチブロがしみこませてあるエチブロシートを使ってました。これは紙にエチブロがしみこんでいるのでゲルの上に乗せればよく、エチブロ溶液はつかわず、あとはゲルと一緒にまるめてぽいできるので安全。これはEdvotekというアメリカのメーカーが主に実習用にと開発したもので、そのCOEとやりとりしていたこともありました。日本でこれをひろめようと、コスモバイオの人もやってきて協議したのですが、どうしてもゲルの上に置いて数分待たないといけないし、ゲルの中にエチブロを入れるという、昔は一般的だったやり方より感度が落ちるので、ほとんど広がらず、また、Edvotekもなぜか全く宣伝しなくなりました。彼に何度聞いてもその点だけは答えないので、どうも、問題が起きたのかな?今でも買えますが、今のタイプはエチブロ面のプラスティックシートの接着が妙に強い。察するに、FDAなどから剥がすときにエチブロが舞い散るリスクを指摘されたのかもしれません。

それでエチブロ代替品を調べてて、ちょうどニッポンジーンから ミドリグリーンアドバンスという試薬のキャンペーンがあったので、注文メールを代理店に送った後で、下のPDFを見つけて、すぐに取り消しました。それがこのpaper。
Comparison of Nucleic Acid Gel Stains Cell permeability, safety, and sensitivity of ethidium bromide alternatives

これは各社極秘にしてきたDNA染色試薬の組成をBiotiumが分析したもの。Midori Green Avance も調べられて、この試薬は、なんとアクリジンオレンジとDAPIの混液である事が暴かれてます。ニッポンジーンのサイトを見ると、安全なエチブロ代替品というように書いてありますが。。。アクリジンオレンジもDAPIも単体で買えば遙かに安いというのはともかくも、アクリジンオレンジの変異原性はよく知られているし、DAPIは組織切片・培養細胞の核を染めるのに良く使う試薬で、細胞への透過性もあるので、それなりに気を遣います。ニッポンジーンというと、現在は富士フィルムの傘下に入ったとはいえ、試薬メーカーの大御所、WAKOの関連企業。

このpdfでは他に、似たようなもの、アクリジンオレンジ+DAPIもあるし、DAPIそのもののところもあれば、また、PIというDAPIと同じように良く使う核染色試薬も堂々と別の名前で、元化合物よりも遙かに高い値段で売られてます。PIは、DAPIよりほとんど細胞内に浸透しない分、ましなのでしょうか。いずれにしても、ひどい商売。

エチブロ代替品としておそらく一番広く使われているSYBR SafeはThiazole orange誘導体だそうです。この情報は、どうも、2012年に
  1 H and  13 C NMR Assignments for the Cyanine Dyes SYBR Safe and Thiazole Orange
という論文で、JOCに報告されたのが最初らしい。しかし、先のBiotumのpdfでは、この化合物は、DAPIと同じように細胞膜透過性があり、この「安全性」を証明するほ乳類細胞での変異原性試験では実際に使う濃度よりもずっと低い濃度をつかっていたということも暴かれてます。ほんとなら、ほぼ詐欺。

この試薬、今はThermoFisherで売られていて、Thermoといえばどこでも吸収合併しまくってる試薬業界の最大手で、SYBRシリーズはエチブロの代替試薬として、ほぼ主流になっているようです。この業界は、こんな悪質なことがまかり通る世界なの? 確かに、研究試薬は、食品でも医薬品でもなく、規制が緩いので、メーカーはそれにつけこんでるのでしょうか。確かに、がんになっても関連性が証明できないから、訴えられるわけもないし、そもそもこれを使ってる人は食品・医薬品業界にくらべて圧倒的に少ない。

ただ、この論文では、同時に、Biotiumが作ったGelRedとGelGreenの優位性、つまり細胞膜透過性が無く、ほんとうに変異原性がないこと、を証明するためのものなので、微妙なところもあるのですが、こちらにしてみれば、手前味噌でかまわないし、貴重な情報です。だけど、GelRedの組成がなんなのかは書いてないというオチがついてますが、これを機に、他社もGelRedの組成を調べて欲しいもの。でもここまで言ってるからには、安全性は大丈夫でしょう。

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追記 GelRedは感度が高く、一般ゴミに出せるくらい安全性が高いということなので、ラボではこちらに切り替えようとしています。泳動後すぐに見れるので、昔のエチブロ入りのゲルで流してたときみたい。エチブロより高感度ですが。ただ、ネックは、DNAラダーが、あんまり美しくないこと。強く結合しすぎるからか。特に高分子量がうまく分離しません。さらに、移動度がLadderに比べて早い。なぜ?それで何か手はないかと調べると、本家のサイトでは、DNAの量を減らせ、とのこと。まあ、そうでしょうが、これはたいして役立たずなので、他を探しまくったところ、以下の改良法を発見。
http://bitesizebio.com/25078/faster-even-cooler-dna-gels/
まだ試してないですが、ナトリウムの代わりにリチウムを使い、酢酸イオンにホウ酸イオンを加えたバッファー、LABにするというアイデア、これはよさそうだ。

さらに追記
上記のLABバッファーは秀逸でした。こちらに切り替えました。ただそれでもDNA ladderの3K以上が団子になりがちなので、量をぎりぎりまで減らすことと試料と同じsample bufferを同量添加することで、ほぼきれいに分離できるようになり、また、サンプルの移動度の異常さもなくなりました。これで手間が減り、エチブロよりもかなり高感度になり、なにより安全になりました。Biotium、えらい。

もうちょっと追記
ただのような試薬に別の名前をつけてあたかも特に開発したようなものとして高く売る、というのは、どの業界でもある事で、よくいわれるのが ブロッティングなどの増感に使うCanGetSignalという試薬。これはカゼインに4%くらいのPEG6000が入ったもので原価はすごく安いですが、このラベルの貼られた瓶に入れられると一万円以上します。だけど、PEG6000の濃度を振って自分で作ればもっと至適なシグナル増幅ができます。こういうのは多いですが、商売はそういうもので、試薬自体は無毒だから問題はなし。こういう情報は特許として公開されていて調べればすぐにわかることです。ミドリグリーンの悪質さとは訳が違います。

あまりにアクセスが多いのでひとこと追加
DAPIは細胞膜透過性があると書きましたが、細胞膜をたとえばヘキスト333342ほどスカスカ通過して核内DNAを染めるわけではありません。 かなり遅い。だけど、分子構造からわかるように膜に親和性があり、ゆっくりと浸透します。アミノ基があるだけなので。細胞毒性はあるけど、genotoxicityや変異原性はないという報告はあります。ただWikiによれば、mutagenとこの化合物の製造過程では表記されているそうです。


もっとアクセスが増えてるのでさらに調べて追記
これを書いてから2年近くが過ぎようとしてます。Biotumからの追加情報はないかと見たところ、CCR Title 22で水溶性で無毒性廃棄物であることが認証されたとの新たなpdfの中に、細胞内には侵入しないというデータの他に、Amesテストの詳しい結果が出てました。エチブロではもちろん高い変異原性がありますが、代謝産物でもGelRed GelGreeenは相当高濃度でも無害で、SYBR Greenはなぜか低濃度の一定の範囲においてエチブロよりも高い変異原性が見られてます。叩きますねえ。

さらに追記240930 GelGreenへ 
NIPPONgeneticsによるとMidoriGreenはアクリジンオレンジとDAPIの混合液ではない、とのこと。確かに、吸収スペクトルを調べると、よく似てますが、ちょっとずれます。たぶん、これらの誘導体か、なにかを混ぜてるか、のようです。
 ともかく、これを使うメリットは、~400nmくらいのLED照明でもUV励起でも、ゲルに加えて泳動した際に高分子量領域の分離がGelRedに比べていいことですが、GelGreenという、GelRedのあとに出た色素を使うと、圧倒的にGelGreenのほうが高感度で、というかずっと明るく、また、希釈も10万倍で十分で(Biotiumは一万倍希釈でといってますが、これは謎)、TBE中で泳動すると、分離能はMidoriGreenと遜色なく、高分子領域でも良好。これなら価格面でもエチブロ溶液よりも安い。100uLのスモールサイズので、10Lのゲルが作れます。
 安全性も代謝物存在下での変異原性試験で濃いGelRed溶液を作った場合には、ほんのちょっとだけ水よりも高い変異原性を持つのに対して、GelGreenは濃い溶液でも、水と同レベルというデータが出てます。またGelGreenもGelRed同様に細胞膜を透過しません。これは重要。ただし、GelGreenはほぼほぼLED照明専用で、UV照明ではまず使えません。GelRedとはそういう使い分けのようです。
 私が宣伝するメリットもないのですが、ともかく他の色素とは比較になりません。GelGreenに切り替えました。