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2019年5月27日月曜日

Tab Mix Plus

FireFoxがQuantumになってTab Mix Plusが使えなくなって以来、ブラウザはWaterFoxという、英国のAlex Kontosが興した会社のFireFoxの64bit nativeのを使ってます。何にも問題ないですが、女房のPCにもこれを入れようとしたら、Tab Mix plusがFirefoxのadd-onサイトから消えてました。おそらく、FireFoxでは使えなくなったからでしょう。ま、そうですよね。

代わりに、現在のFireFoxでも使えるTab Mixなんとかいうのが入ってますが、これはダメ、設定をAbout.configで別に行う必要があると書いてありますが、こうやっても機能せず、plusの大事な機能がつかえません。

ただ、それは単にFireFoxが載せてないだけで、どこかにあるだろうと調べてみると、やはりありました。https://bitbucket.org/onemen/tabmixplus/downloads/?tab=downloads
からダウンロードできます。これをadd-onからファイルとしてインストールするとWaterFoxにTab mix plusを入れることができました。これに、設定したファイルをインポートして、できあがり。

 もっとも、Tab mix plusのupdateは自分でここに行ってマニュアルでインストールする必要があります。だけど、してなくても現実的にどれくらいのリスクがあるのかしりませんが。ともかく、めでたし。



 左下の、ゴミ袋のようにみえる黒いかたまりは眠るちびくろ。それを優しく見守るお姉さん猫、な訳がない。数秒後には争いが始まりました。

2019年5月25日土曜日

聖ジュネ

斧が私の首を切るずっと前に、
わたしのなかで死んだ朗らかな子供

実家に帰ったときに持ち帰ってきた新潮文庫の「聖ジュネ」、このサルトルの本、実に懐かしい。高校生の頃、懸命に読んでたものです。相当ハードで、ほんとに懸命に読んでました。最初から読めば実はそこまで難渋なものでもないのですが、適当に開いて途中から読むと、ほぼ意味がつかめない。

だけど、これは救いでもありました。なぜだかわからないけど、それは、たとえば、この聖ジュネの第一章の章題、実はこれは、ジャン・ジュネの書いた詩の一節。訳も素晴らしい。何かあると、よくこの言葉を思いうかべてました。これがこの本、ジャン・ジュネの評伝の主題です。この長大な本では、繰り返し、この解題が行われます。だから、高校生でも読めたのかもしれない。

「幼年時代のある思い出に関してある事件が彼の身に起きて、この思い出は神聖なものになった。 若年に宗教の儀式に似たドラマが演じられ、彼はそのドラマの祭司となった。つまり彼は楽園を識ったが、それを見失った。子供であったが、幼年時代から追放されたのである。」

ジャン・ジュネは若い頃、札付きの犯罪者で、何度も投獄され、だけど悔い改めるどころか、脱走を繰り返し、犯罪を賞賛し、ついには終身刑が科せられようとしていたころに(フランスでは10回有罪になると無期懲役になるという制度があるそうで)、サルトルやコクトーらの請願により恩赦されました。彼はちっとも喜びませんでしたが。

不幸な幼年時代、何が彼を犯罪に向かわせたのか、なぜ彼は描いたのか、なぜ彼は悔いることなく犯罪を繰り返し、それを称えたのか、この本のmotivationはそこにあります。だけどジャン・ジュネの小説や戯曲のほうは私にはちっとも面白くなく、数ページ以上読めたこともありません。詩は、冒頭の句は素晴らしいけど、訳にも寄るのでしょうが、あまり感じるものはありません。ただこれは単に私には縁遠いというだけで、仏文科の卒業論文には数多く、彼を対象にしたものがあるに違いありません。この「聖ジュネ」はその頂点でしょう。

彼を理解しようとするサルトルの試みは素晴らしく感動的なほど。そして、その行為は不思議な魅力に満ちています。今でも、改めてそう思うくらい。読むほうに進歩がなさすぎだろう、というのはさておき。

ただ、これを読んだジャン・ジュネはショックを受け、その後ほとんど書けなくなります。それはそうだろう。ここまで分析され、解決されると、これ以上何を生む必要があるのか。研究と同じようなものです。彼を、評伝、分析対象とするには余りにも早かった。知性とは残酷なものです。

2019年5月9日木曜日

日焼け止め、紫外線吸収剤は安全なのか

紫外線が強い季節になりました。そんな頃にタイムリーな、この論文、
Effect of Sunscreen Application Under Maximal Use Conditions on Plasma Concentration of Sunscreen Active Ingredients

前から気になっていましたが、最近では日焼け止めを積極的に塗ることが推奨されています。オゾン層が薄くなったせいなのか、紫外線は昔よりは強くなりました。だけど、日焼け止めをメーカーの推奨のように塗ると、相当な量になります。日焼け止めには相当いろんな成分が入っていますが、そんなに安全なものなのかなと思って、つけたことはありません。が、女房はまじめに塗ってます。いいのかなと気になってはいても、たいした根拠もないし、塗らないとシミが増えるとか皮膚ガンになってもいいのね、とか絡まれても困るし。

この論文では一般的な日焼け止めの成分であるavobenzoneを例にして、どれくらい血中に取り込まれるかを調べてます。これは血中濃度が0.5ng/mLよりも低ければ生物学的影響はないとFDAはしていますが、言い換えれば、それ以上だと、発がん性や催奇性などの毒性検査が必要になるとされています。24人で調べたところ、血中での最高値が4ng/mLで、安全とされるレベルを一桁超えてます。

avobenzoneは紫外線を吸収して分解されることで、皮膚が紫外線に曝されることを防ぎます。だけど、同時に、構造からわかるように、皮膚に浸透して細胞内に入り、血中まで容易に到達するでしょう。この手の紫外線吸収剤はどれも似た性質があるようで、Oxybenzoneはもちろんですが、OctinoxateやHomosalateも、名前からなかなかぴんときませんが、構造を見ると同じような浸透性を持つだろうことくらいは、化学者ではない私でもわかります。

たぶん、紫外線吸収剤は芳香環を使うのが簡単なので、水に溶けにくく油に溶けやすい化合物が使われているのでしょう。いずれも、もちろんそんなに毒性が高いものではないですが、日焼け止めクリームで使う量は大量です。飲み薬は厳しく摂取量が管理されてますが、塗り薬はほぼ放置されてます。紫外線吸収剤は取り込まれるとどれくらいの早さで代謝されて放出されるものなのか。だけど、その前には血中に入って全身を回って肝臓に入らねばなりません。

おそらく紫外線散乱剤である二酸化チタンや酸化亜鉛のナノパーティクルの方がまだ安全でしょう。これらナノパーティクルの安全性がどうかわからないとは言われていますが、ただ、これらが蓄積することはあんまりないかな?少なくとも上に書いた吸収剤よりは体内吸収がかなり低そう。

皮膚ガンのリスクか、日焼け止め薬の毒性か、どちらを取るか。一番安全なのは中東のように布をかぶることだとは思います。宗教は人が生きるための知恵でした。