このブログを検索

2016年9月17日土曜日

cold fusion

モントリオールでポスドクをしていた頃、ボスが、すごい発見があった、これで資源を持たない日本は助かるぞ、ものすごいことだ、と興奮して話してくれたことがありました。ユタ大学で、当時は滅多になかった大学としての公式記者会見で、フライシュマンとポンス教授が、電気泳動で核融合ができた、ということを発表しました。核融合は人類の夢、太陽よりも高い温度で、とんでもない高圧下でのみ、重水素をヘリウムに変換できる、それを実現するために国際協力機関で膨大な費用を投じて長期にわたり開発を進めてきた究極のエネルギー開発。

そんなものが、いっては悪いですが、田舎の大学で(実は優れた大学です、ほんと)しかも普通の化学の実験室で、しかも学生がやるような電気泳動で実現できるわけないだろうと、専門家は即断し、猛烈な追及を受け、世界中で追試が行われてもほぼ再現できず、えせ科学とされてきました。ユタ大学は当初から熱心で、cold fusionの研究所まで作って支援を続けてましたが、2年のうちに閉鎖となりました。二人は耐えきれず、ヨーロッパに逃げ、TOYOTA等の財団の支援で研究を続けてましたが、フライシュマンだけが研究を続けて論文を発表し続けてましたが12年に亡くなったそうです。Wikiのこの記事を読むと、こんんなことになってたんだと、興味津々でした。

しかし、核融合に伴うはずの証拠が余りにも弱く、理論がなく、再現性も乏しい中、ただ全くできないわけではなく、入れたよりも余剰の熱が発生するという現象はどうも確かに起きることがあるようで、ほとんど一流紙には載りませんが、その可能性にかけて研究を継続してきた研究者たちがいるとのことを、ネットの記事で読みました。

以前、三菱関連会社が核廃棄物を、元素を変換して処理する技術を開発しているということは読んだことがありますが、原子を変換するとは核分裂か核融合しかないわけで、核融合??、それも小さなプラントで??という疑問符だらけでした。どうやら、他にもいくつもベンチャー企業が手がけていて、low energy nuclear reactions、略してLENRsと呼ばれているようです。ECATという会社のサイトによると、ごくわずかな燃料を使って、20cmx5cmという小さな反応コアでKWレベルのエネルギーを何ヶ月も安定して産生する、とか。簡単な装置のようで、簡易型でしょうが、核融合キット!すら売られてます。250ドル、なんと。
http://www.lookingforheat.com/shop/diy-kits/lenr-test-kit-mk1-model-t/
です。

日本では、これを凝縮体系核反応とよんでいるようですが、もともとユタ大学で用いられた電気分解を用いる方法のほかに、大阪大学の荒田吉明という人が高圧の重水素をパラジウムの中に吹き込むことでと、ヘリウムができて余剰熱が発生する、という現象を発見し、「エネルギーを使わずに酸化ジルコニウム・パラジウム合金の格子状超微細金属粒子内に重水素ガスを吹き込むことだけで、大気中の10万倍のヘリウムと30kJの熱が検出された」と日経新聞は報じています。公開実験も行っており、この方法の再現性は高いようです。ただ、ECATが言ってるレベルの再現性ある安定なエネルギー産生には、まだどこも到達していないらしい。多くのベンチャーは、立ち上げの期待に添って成果を上げているようにはあんまり見えません。

核融合で出てくるはずの中性子は、ユタ大学からの発表と一貫して、殆ど出ないわけですが、この現象は核融合ではなく元素変換であるということを北大の研究者は報告しており、それで説明がつくのかどうか。私がネットで見た記事は東北大の寄付講座に荒田法によりエネルギー産生を研究する企業がはいったというものでした。三菱系列だったかな。

何でも良いので、入れた以上の熱が出てくるのならば、それは確かに革命的になる可能性はあります。ただ、いずれも小規模、ベンチトップサイズのようで、実際に使えるエネルギー規模になりえるものなのか。そもそも、入れたエネルギー以上という、その計算が正しいのかも批判されてもいるようです。 理論がなく、研究成果がまともな雑誌に載らないことがなによりも辛いことでしょう。

少なくとも、失意のうちになくなったポンズ、フライシュマン教授の夢は、まだ途絶えていないことは確か。なにかはありそう。ほんものであってほしいものです。

2016年9月10日土曜日

aura one、ChainLPの設定

aura oneに入れる本のサイズをどこまで減らせるのか。ChainLPでは詳細設定>画像の本文で、PNGの形式の時に、色深度を選択できますが、これは本の場合、普通は2bit、つまり4階調にしてます。文字の識別に何の問題もありません。写真などの場合は挿絵のところで色深度を4bit、たまに8にすることもありますが、これはそのたびにページを指定しないといけないので、表紙や最初にでてくる写真だけにしか使いません。
ほんとかと、比較して見ると、



















左が3bit、つまり8階調、右が2bitにしたものですが、全く区別がつきません。大野 克嗣の有名な「非線形な世界」です。文字は4階調もあれば十分。


問題は解像度。「ジョイスのための長い夜」で、2つに変えて比較してみました。この2つ、並べても区別がつきませんが、左が1130*877、右が1872*1454の解像度でChainLPでCBZに変換したものです。サイズは左が22.8M、右が65.3Mと3倍違います。つまり、こういうサイズの文字の場合、1130*877で全く問題なし。


ただこれは文字が大きい。小さな文字の大野さんの本ではどうか。
 これは左が1130*877、真ん中が1454*1130、右が1872*1454の解像度にしたものですが、かなり差が出ました。どれでも苦もなく読めるには違いないですが、やはりフル解像度が一番。サイズは左から、18.5、27.2、42.3Mb。この文字サイズの本はあきらめてフル解像度を選択です。
 こちら、最近よく読む、トルコの作家、オルハン・パムクの「新しい人生」で、左が1130*877、右が1872*1454の解像度。これくらいの文字サイズなら差はそれほどみえません。少なくとも読むときの印象においては。サイズはそれぞれ18.9、52.8Mb。

大抵の単行本なら1130*877でいけそうですが、そこは中身と目的に応じて選択。ともかく、容量が6.7Gしかなくても300冊は入りそうな感じがしてきました。

2016年9月8日木曜日

Kobo aura one 到着!

6日に発売のKobo aura oneを、午前中に注文したら、昨日、到着。早!

確かに軽い。これなら持ちやすい。まずはセットアップ。これがネットにつながないとできず、しかも楽天にログインする必要がありうっとうしいですが、とりあえずインストールだけやって、WiFiを終了。とにかく自炊した本がどのように表示されるのかが気になり、気もそぞろにマイクロUSBでPCにつないで本を入れてみました。そういえば、これは確か、防水だったと思いますが、H2OのようにマイクロUSBのラバーカバーがなくなり、さしやすくなりました。

スキャンした本の解像度はとにかくスペック通り、1872x1454にして、ChainLPを使って、まずは、今まで同じ大きさのリーダーで愛用している、InkPadと同じくEPUBフォーマットに変換して入れてみました。ところが上下に無駄なスペースが出て、小さくしか表示されません。ネットで調べるとauraではKobo eReader.confのファイルの設定を書き換える必要があるとあって、TeraPadで書き換えてみましたが、だめ。ふと、KOBOだからaura H2Oと同じでcbzならどうだろうとやってみたところ、あっさり解決。全画面表示になりました。なかなか焦ります。

aura oneが売りにしてるものに色温度・明るさの自動調整というのがあります。なるほど暗いところでは赤っぽくなります。でも、普通、色温度が低いともっとオレンジ色になると思うのですが、ちょっと赤すぎて、あまり心地よいとは思えないので、これはちょっとだけ入れる程度にして、また、自動調整もうるさいのでオフにして、結局、ちょっとだけ赤い色調に固定しました。

さすがはcarta Ink、特にバックライトを少し入れたときのコントラストが高く、紙のように鮮明です。以前、InkPadを買ったときに撮影したのと同じくカフカ全集の日記で比較すると、
左がaura one、右は今で使ってたPocket bookのInkPad(英国経由で入手)。こうやっても左が赤く見えるだけであまりよくわからないですが、実際には鮮明さにかなり差があります。InkPadはPearl Inkなので、なんだかぱっとしない感じで、これがいまいち感を強めてました。また、解像度が高い分、精細感もあります、書きましたが、なぜでしょう、解像度はInkPadが1600x1200なのでたいして変わらないはずですが。Carta eInkのせいかな。

もう一つ、InkPadに比べて大きな差は速さ。解像度がでかい分、ファイルサイズはH2Oより77%大きいのですが、割と快適に動きます。起動も速いし。InkPadはなによりもそこが不満。まったりしすぎ。速さはH2Oとほぼ変わらないくらいかな。文字表示領域の広さはInkPadとほとんど同一です。

また、displayはH2Oとは違って、フラットで、ベゼルとの境の段差がなく、ざらざら感がH2Oから進化していて、なかなか新しい感じ。ただ、裏側の滑り止め、鉄の土瓶の表面にあるような小さなさざ波のような作りは、あまり快適では無いかな。慣れでしょうが。

当然ながらKOBOとはいえ表示は日本語にできるので、InkPadのように日本語が文字負けしたり(表示されなくて当然なのだけど、中途半端に漢字も出るので日本語も入れてます)、本の整理はH2Oと同じようにできます。というか、ソフトはほとんどH2Oと同じ。

最大の難点はmicroSDが差せないこと。8Gとはいえ、実質は6.7Gしかなくて、単行本100冊、削って200冊くらいですか。ま、そのころには別のが出るだろうからいいか。一台にすべてを放り込む必要は無いわけで。

Aura H2Oは女房がなかなか返してくれないので、これをデフォールトにしようかとも思ってます。これで電子ブックリーザーはキンドルからはじまって4冊目、と書いてましたが、よく考えると、5冊目になりました。2つのキンドルの方にはあわせて300冊くらい、端末には満タンになりました。auroH2Oに400冊ほど入ってます。これはさすがに文庫本専門で、128GmicroUSBにしてるのであと3000冊くらいは入る計算で、文庫はこちらにしてあとは壊れるまで十分。女房さえ返してくれれば。InkPadに単行本が200冊くらいか。

本の処分ができつつあるので、一室の壁を全面埋めていた書棚はバルコニーでの植物用の棚として活用されつつあります。地震が来ても本が倒れて生き埋めになることはなくなったかな。

さすがにこれは売れてるようですね。キンドルはハードはほぼあきらめてる印象があり、本格的電子本リーダー(というよりは本の電子リーダーか)はKOBOの独占になりつつあるのでしょうか。これはあまりよろしくないのですが。

付記
2017/2/11
この記事に、いまだに多くの方が訪問してくれていることに気がつきました。ので追加を。今では、すっかり私はaura one、女房はaura H2Oになりました。次の記事で書いたように、解像度を落とすことで、スキャンした本のサイズを減らせるので、メモリの制約は今のところまだ感じません。懸案だったブルーライト対策のうっとおしさは、自動設定を外し、適当な色温度に固定したら、なかなか良い感じになりました。

まったく何の問題もなく、どこに行くのもこれ一冊。文庫本からハードカバーまで無理なく読めます。2冊のキンドルはすっかり出番がなくなり、バッテリーも切れたままです。一度、aura oneを使うとキンドルはもう読めません。電子本さえ買わなければWiFiをつける必要は無いので切っておいて、毎日一時間開いたとすると、バッテリーは、公称の1ヶ月よりかなり長く持ちます。少なくとも6週間は持ってる印象です。もちろんどれくらい一日読むか、背景照明に寄りますが。薄いので持ちやすく、背広のポケットは無理でもジャンバーやコートなら楽に入るし、バックに滑り込ませるのも難なし。唯一の不満は大きな本になると読みづらいことですが、これは仕様。
 
この上の機種だとBOOX N96という9.6inchのが出てますが、解像度が1200×825と低く、BOOXはcarta inkでなくてpearlなのじゃないかな、とあまりそそりません。koboがこのサイズを出してくれないかな。

日本からは直接買えませんが、PocketBookはInkPad2というのを出しましたが、これもいまだにPearl eInk。同じ8インチ。MP3がついただけ?そんなにCarta inkはハードルが高いのかな。