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2018年6月11日月曜日

幻と祈り

ディラン・トマスの書簡集の中で出版社宛に出された手紙にあった詩「幻と祈り」。書きうつしにくいが 


         あなた
       は誰なのか
       となりの部屋で
     生まれているのは?
    私の部屋にあまりに高く
   響くので、子宮の口が開いて
  闇がミソサザイの骨のように薄い
 壁の向こうで精霊と生まれたばかりの
子の上の覆いかかるのが私には聞こえる。
 時間の燃焼と回転と人の心の足跡には
  いまだ知られていないこの生誕の
   血にまみれた部屋のなかでは
    頬ずくのは洗礼などでは
     なくただ暗闇だけが
      この荒々しい子
       を祝福して
        いる。


彼は、編集者に対して、この詩が完璧な対称性を持って印刷されるようにと指示してます。ここではなかなかそうなりませんが。徳永暢三氏と太田直也氏によるじつに見事な翻訳。この高み!