ディラン・トマスの書簡集の中で出版社宛に出された手紙にあった詩「幻と祈り」。書きうつしにくいが
あなた
は誰なのか
となりの部屋で
生まれているのは?
私の部屋にあまりに高く
響くので、子宮の口が開いて
闇がミソサザイの骨のように薄い
壁の向こうで精霊と生まれたばかりの
子の上の覆いかかるのが私には聞こえる。
時間の燃焼と回転と人の心の足跡には
いまだ知られていないこの生誕の
血にまみれた部屋のなかでは
頬ずくのは洗礼などでは
なくただ暗闇だけが
この荒々しい子
を祝福して
いる。
彼は、編集者に対して、この詩が完璧な対称性を持って印刷されるようにと指示してます。ここではなかなかそうなりませんが。徳永暢三氏と太田直也氏によるじつに見事な翻訳。この高み!