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2019年4月29日月曜日

デカフェのコーヒーはどうやって作られているか

ポスドクしていたモントリオールやボストンではデカフェのコーヒーはよく飲まれていて、茶店やフードコートでも普通に選択できました。ただ、どうやってコーヒーからカフェインだけを除けるんだろうと疑問に思って聞いたところ、トルエンだよ、といわれて、だから絶対飲まない人がいるんだ、と言われました。トルエンはかなり有害なので、まさかとは思ってましたが、じゃあ、なんだろうと調べたら、液化炭酸ガスで除いてる、という話をどこかで読んで、ならば大丈夫かとも思って、時々飲んだことあります。今も、ラボにはおいてあります。でもコーヒーに比べてあまりうまいものではないですが。

Gigazineに
デカフェのコーヒーはどのように作られているのか?

という記事が出ていたので、興味津々で読みました。これは

How Is Decaf Coffee Made?

という記事の概要翻訳でした。 これによると、当初はベンゼン(ベンジンかと思ったが、ほんとにbenzeneらしい)で抽出していたが、発がん物質なので、今ではジクロロメタンなどに切り替えられてる、と・・・

私の聞いてたトルエンというのがベンゼンの間違いだったことはわかりますが、ジクロロメタン??こちらも有害性では負けません。妙だなと元記事を読むと、ジクロロメタンと酢酸エチルで抽出しており、ジクロロメタンは毒性があり神経にダメージを与えるという懸念があって、FDAが調べたところ、残留する濃度では健康への被害は出ないとされたとのこと。

ちゃんと訳せよ、と思いますが。元記事では、もう一つの方法、私が理解していた液化炭酸ガスを使う方法もあることが書かれていて、Gigagineでも訳されてますが、元記事ではもう一言、こちらもwidely usedと書いてあります。

あと一つ、元記事を読んでも理解できない謎な方法が書いてあります。これはわからないのですが、ともかく、元記事にある一番大事なメッセージは、今飲まれているデカフェがどのようにして作られたものかは消費者は知る事ができない、ということ、これがGigagineでは書かれてない。スポンサーかもしれないメーカーへの忖度なのかな。

ここでConsumer Reportsというが引かれていて、読んでみました。どうやら、これがほんとの元記事らしい。ここをリンクするだけでいいだろうがと思いましたが。ここではちょっとだけ詳しく、この謎の方法の意味も、水で抽出する方法で、かなり手間がかかるということ、酢酸エチルとジクロロメタンを使う方法も用いられていることがわかったくらいで、大体同じ。

ともかくやはり、デカフェは碌でもないものの可能性があるかな。液化炭酸ガスは、単なる炭酸ガスなので成分としては安全で、うちのラボでは電子顕微鏡試料の調製に使ってますが、これを大量にやろうとすると、高圧で行う必要があるので、コストがかかりそう。やるかな?危険だし。

ジクロロメタンが使われてたにしても、抽出に使われた薬品の残留物の量は基準にあってはいるのでしょうが、手法はなんで公開されてないの?いずれにしてもデカフェはやめた方が良さそう。ラボにおいてるのも棄てることにしよう。