福島は歴史のある街で、あちこちにいろんな石碑があります。小川の交わるところに、鬼塚という、変わった名前の小さな小塚があり、なんだか不思議な雰囲気があって、以前から気になってました。
いつも丁寧に手入れされていて、このお地蔵さんのような子どもの像には、いつもこんなかわいい掛け物がしてあります。寒くなるともっと暖かい着物に替えられます。
ひょっとしてお子さんが事故でなくなったのかと最初は思いましたが、こんな石碑や像が建つことはないだろうし。
休日に、なんだろうと車を止めて入ってみました。車で通るときには気がつきませんでしたが、掲示板があり、市の文化遺産のようなものに指定されているようで、鬼塚の説明がありました。だけど文字もぼろぼろに剥がれていて、一部読めないところもありました。だいたい、こんな話。
昔、ここにお寺がありました。そこに熱心に通ってくる子どもがいました。お坊さんはその子に、湘南の浜のお寺に高名なお坊さんがいるから、その人について学びなさい、と話しました。そこでその子は、湘南の浜までたどり着き、お寺を訪ねました。ところが、その高僧はなくなっておられたのか、どこかに移られたのかで、会うことができませんでした。
遠い昔のことです。湘南まで長い旅路だったはず。自分の願いが叶えられないことを知ったその子は、湘南の海に身を投げたそうです。それを知ったお寺では、その子を憐れんで稚児塚として供養している、だいたい、こんな意味だったと思います。記憶の中で物語が若干編集されてるかもしれませんが。ただ、稚児塚が、いつしか鬼塚、になったのか。
だけど、なんだか、不思議な物語。その子は、失意と共に、これでは故郷や自分のお寺に会わせる顔がないと思ったわけで、逆に、お寺の悔恨の念なのかな。小さな子に間違ったことを伝えて追い詰めてしまったという。だから、鬼塚、でもあるのでしょうか。誰しもが鬼になるかもしれない、という戒め、とか。
お寺はずっと昔に壊されたようですが、花はいつもきれいです。鬼塚は、おそらく地域の方が丁寧に守っておられます。