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2019年3月27日水曜日

再び、研究棟の一室で

このNHKの番組、「そして、研究棟の一室で~九州大学 ある研究者の死」、見るのは3度目。同じ番組を2度見するのは好きじゃなく、つけたらたまたま放映されてたわけですが、それでもチャネルを替えることなく、最後まで見てしまいました。

前も書いた、この事件。憲法を専攻して研究を続けて、非常勤講師などで糊口をしのいできた一人の男性が、九大の建て壊しになる文系キャンパスの一室に火を放って自らの命に終止符を打ちました。番組で取り上げたのは、彼が通っていた整骨院とラーメン屋の話。それと友達と先輩の話。

こういう人生は無理だ、そう言っても、その言葉は、手から砂がすり落ちるようです。

だけど、やっぱり言わないといけない。研究者の人生が難しいとしたら、それはあまりに自由だからでしょう。サラリーマンと違って、研究者は日々の研究の中で選択を迫られます。これを、選べる、と思うか、選ばないといけない、と思うか。わずかな選択のミスが指数関数的に人生の大きな道筋を変えます。それはプレッシャーなのか、自由なのか。

すくなくとも、そこで一人で悩む必要はないのです。誰もが違う世界に生きているわけで、ほかの人生も周りが教えてあげることはできる。もちろん大学でも、あの番組で、言葉をかけなくて後悔している、と語ってくれた優しいラーメン店主でもよかった。本来、学問は、世界を切り開くためのもの。段々狭くなる世界に住むためのものではないんだよ、と。誰か、言ってくれなかったものか。

2019年3月23日土曜日

Aura Oneの終了

しばらくThe digital Readerを見てなかったら、2ヶ月前にKOBOはAura Oneを終了するという記事がでてました。まったく知らなかった。
https://the-digital-reader.com/2019/01/28/the-kobo-one-is-discontinued/

まだ楽天では売られてますが、ただ、現在の私の本、32GメモリのコミックEditionは、噂の通りに早くに販売終了になり、現在、8Gのだけが残っています。これも在庫もあまりないようで、これがなくなったら、日本でも終了なのかな。アマゾンでは既に中古品がほぼ新品と同じ値段で売られてます。

KOBOではKobo Formaをその後継機にしてます。だけどこんなの、誰が買うんだ、と、余計なお世話ですが。他のメーカーからも7.8インチのはいくつか出てきたので、これから、本を読む目的でe-ink readerを買うには、他社ので試行錯誤することになりそうです。

今出ている機種のなかだと、Likebook Mars が同じサイズでmicroSDカードをつければ128Gまで増設できて、CPUのスペックも、そもそもMarsはAndroidOSなので比較にならないようで(Formaのは不明)、Formaのような無駄な横幅や回転機能がない分、ずっと良さそう。50gくらい重いですが、カバーつけるから、誤差範囲。とくに128Gストレージを追加できるのは大きい。これはaura H2Oと同じだ。また、2階調モードというのもあり、これだとページめくりが高速になるのかもしれません。このハード、かなりそそられます。私には関係ないですが、Kindle本、Kobo本も読めるようになっていて、すべてをカバーしようという野心的。

と書いてて気がつきましたが、つまり、いまではaura Oneの優位性はすでに無く、だから市場から消える訳ね。

もう少し大きい方がいい場合もありますが、7.8インチというサイズが、ハードの共通項としては確かにベストかもしれません。文庫本より少し大きく、単行本の印刷画面のサイズとほぼ同じ。バックライトももちろんついててCarta E-inkで画素数も300dpiと、これ以上望みません。ただ、aura Oneはcarta E-inkはKobo aura H2Oに比べるとdisplayのコントラストがなぜか落ちていて、並べると見劣りするものでしたが、H2Oはなにぶん小さいし。ネットの画像や話を見る限りでは、Likebook MarsのCarta e-inkは、H2Oの画像クオリティがあるようです。

Aura Oneは2016年8月の販売開始だったそうで、わずか2年半ちょいで終了ですか。私がこれだけ入れ込んでるので、直ぐになくなるに違いないと思ったら、案の定。

ただ、こういうハードは、たぶん、商売にならないような気がします。e-bookを買い続けてくれれば良いでしょうが、今の電子本は質の点で、紙に比べてなにかと見劣りします。マンガならいいのかもしれませんが。結局、aura oneをネットにつないだのは、買ったときと、それからしばらくあとの2回だけ。ふとつないでみたらupgradeされてしまい、画面がうっとうしくなり、元に戻せなくなりました。以来、version upされてますが、絶対につながないようにしてます。それくらい忌諱したい。

時々まとめて本を買ってますが、即、裁断して、ix500でスキャンして、ChainLPでcbzに変換してAura oneに入れてます。だけど、こんなことやってる人はまだそんなに多くないのかな。うちのマンションのゴミ捨て場に裁断された本を出してるのは私ら以外に見たことないし。そもそも、皆さんほんとに本読んでないし。そんな人生、つまらなくないかとは思いますが、これもまったく余計なお世話。

私のAura Oneには900冊くらい入ってますが、まだ空きがあり、あと100冊くらいは入れられます。書棚に残ってる本を入れたら直ぐに埋まってしまいますが、残りは大型本なので、つぶすかどうか悩ましい。ともかくAura Oneには新しい本ばかり入れてるので、次の新しいe-ink リーダーを待つ時間はありそうです。

2019年3月22日金曜日

VPNで勝手なキーリピートが増えた件

外にいるときはVPNでラボのPCにアクセスして、そこでソフトを動かして、大学にいつもいる振りをしてますが、最近、打ったキーが勝手にリピートするようになりました。つまり、aとうつと、aaaaaaになり、日本語では、そうだ、のつもりが、そうだあああああああああ、と絶叫調になったり、最悪なのは、backspaceで一文字消したつもりが、前に打った文章全部を消してしまったりと、なんだか妙というより、落ち着いて打てなくなりました。

システム担当に聞きましたが、ネットワークの混雑のせいかもしれないので、対症療法的にキーボードの設定を変えてみたら、とsuggestion。やってみたところ、この設定に反応しません。

どうも妙で、何か頭の中で引っかかるところがあり、ネットで調べているうちに、以前、「Windowsでキーボードの速度の限界を突破する」という@ka_さんの記事を参考にして、レジストリをいじっていたことを思い出しました。

この方の通りに、レジストリのControlPanel>Accessibility>Keyboard Responseの中のAutoRepeatDelayをデフォールトが1000のところを170に、AutoRepeatRateを500のところを9に、あとBounceTimeやFlagsも変えてました。何と素直なこと。

そのときはこれでキーのレスポンスが最速になったと 喜んでました。だけど、どうもこれが、現在の学内ネットワークの状況にあわなくなってるのかな。昨年度に比べて設備も人も大幅に増えた大学なので、ネットワークが追いついてない、ということなのか。

そこのところは仕方ないので、こちらの設定変更でと、試行錯誤の末、AutoRepeatDelayは250、AutoRepeatRateは50に変更。ややもたつき気味ですが、こちらも年とってレスポンスが悪くなってるのでちょうどいいかな、と遅くして様子見です。

→と思ったけど、まだそこまでもたついてないので、 AutoRepeatRateは30に変更。今のところ、これくらいかな。あ、ついでに、このブログの白黒を反転して、文字を少し大きくしました。

→→ だけどまだVPN接続で、勝手なリピートが出るので、他のパラメータをいじってみました。まずFlagsをなんだろうと、誰かがやってたので126にしておいて、DelayBeforeAcceptanceを300にしてみたところ、、レスポンスするまでにdelayが出るようになりました。AutoRepeatDelayとにてますが、これはたぶん、repeatか、それ以外のdelayかの違いなのかな。

ならばと、DelayBeforeAcceptanceとFlagを適当にいじってると、再起動したときにキーボードが効かずログインすらできなくなりました。。。焦りましたがログイン画面の簡単操作のなかにあるソフトキーボードでログインして、設定を、flagを59に戻して、あとDelayBeforeAcceptanceを30と、小さな、ゼロで無い値を入れて見たところ、復活して、通常使用はてきぱき動きます。問題は、VPNですが、どうかな。

→→→良さそうです。 結局、DelayBeforeAcceptanceを30にしたのが正解だったのかな。

 →→→→でもやっぱりだめ。おとなしく、WIndowsのキーボードの設定の、表示までの待ち時間、を最速ではなくて、一つ遅いものに設定したところが、妥協点ですか。キー入力のときにちょっとひっかかるのがいまいちだけど、これはやむなし。

2019年3月16日土曜日

アレルケアの謎

コリン作動性蕁麻疹、今は単に汗アレルギーとかいわれてますが、このためにとくに食事のあとは人に会えないくらいひどいぽつぽつができてました。札幌にいた頃は最悪で、これを抑えるためにアレグラなどの抗アレルギー薬を使いすぎてしまったせいで、アレグラなどの抗ヒスタミン薬自体に対して蕁麻疹がでるようになり、一番ひどかったときには、ぽつぽつが腫れて、顔中が腫れ上がるようになってしまい、途方に暮れてました。研究室にいたら人に会うので、外に出歩いて、誰もいない通りを歩いてました。なによりも心配だったのは気管狭窄。もしも気管が腫れても呼吸だけは確保できるように、ストローだけはいつもバックにしのばせてました。幸い、そんなことにはならなかったですが。私の場合、普通のアレルギーと違って、体の表面だけの反応でした。おそらく汗に対するアレルギーだからかな。

福島に来てからはだいぶよくなったのですが、それでも臨床の学生に、実験室で、こうやるのだよと教えてると、そのピペットマンを持つ手に赤いぽつぽつができてるので、大丈夫ですか、何か検査されたほうがとだいぶ心配されました。先生が倒れたら学位がやばいかもと思われたのでしょうが、あまりよくある症状ではなかったのかもしれません。

そんな頃、なにかの感染症になって抗生物質を長く飲んでたときに、抗生物質で腸内細菌が死滅するからと、ミヤリサン(酪酸菌 宮入菌)と納豆を彼は勧めてくれました。このときもカルピスのアレルケア、L-92は飲んでたのですが。感染症は直ぐに消え、抗生物質はそのときだけでしたが、そのあとも、ミヤリサンと納豆はずっと飲んでました。気がついたら、いつしか、コリン作動性蕁麻疹も消えてました。

同時に、花粉症も気がついたら消えてました。コリン作動性蕁麻疹に比べたら、花粉症はたいしたことないですが、それでも不快には違いありません。それが、春先になって車の表面が黄色くなるくらい花粉が飛んでいてもほぼ平気。福島に来た時分は春先は花粉症とPM2.5で苦しめられて、春はとってもいやでしたが。

アレルケアの液体飲料のは大量に買い込んでいて、311の時、水が貴重になったときは、このストックのアレルケアドリンクを水代わりに飲んでました。そのせいか311の春は花粉症は全く出ませんでした。もっとも、仮にでていたとしても、それどころではなかったわけですが。そのストックもなくなり、花粉症もしばらく出てなかったので、もう要らないかと昨年末からやめてみました。だけど、2月中ぐらいからなんとなく目が痒くなり、むずむずするようになりました。これにつれて、また、手に赤いぽつぽつもでるようになりました。

これはまずいと錠剤のアレルケアを買って飲んでましたが、たいして効果なし。やむなく、ドリンクタイプをまた買って、毎日少量ずつ飲んでたところ、今度はてきめん。積もった花粉を指で掃除できるくらいになりました。

つまり、どうやら、液体のL92乳酸菌が私には有効なようです。 これは前も同じような事を書いたことがあり、かなり再現性高い。それをおそらくミヤリサンは助けるのかな。なぜ液体が良いのでしょう。たぶん、摂取している乳酸菌の量はたいして変わらないか、むしろ液体のほうが少ないくらいのはずです。揮発する有効成分があるとは思えないので、乳酸菌の凍結乾燥のせいではないだろうし。胃の中では個体でも腸に入った頃には溶けて液体タイプと同じになってるはずなので。

それとも、この菌の作用部位が上の方、胃に近い腸の部分、十二指腸か、小腸の入り口あたりにあるのからでしょうか?だけど、普通、腸内免疫の主体とされている免疫の監視装置のバイエル板はもっと後ろの方、回腸で多いはずで、そういうこともなさそうです。ならば、錠剤タイプを溶かし飲んで効果を比較すれば、わかるかもしれないけど、これはやらないかな。謎ですが、ともかく液体タイプのアレルケアは効きます。

2019年3月11日月曜日

小さなパン屋さん

明日は3月11日。NHKで被爆対応に追われた医師らの苦悩の日々の記録が放映されてました。大学のよく知ってる人も出ていて、あまりに率直すぎて、大学的にどうなのかとは思いつつも、あれが正直なところ。医者とはいっても放射線に関する知識は一般人に毛が生えた程度です。放射線を日々取り扱う専門医ですら、診療以外の話になるとちっともあてになりませんでした。

番組では、対応にあたっていたスタッフが一人また一人と壊れて、泣き出していったと災害医学の教授が話してました。全くその通り、思いだしました。そこまで言うかとは思いましたが、あっさり言ってしまうのがいかにも彼らしい。

その当時、大学では、各部局から代表者が出ることになっていた全体者会議が毎日開かれ(たしか直後は朝夕と二回開かれてました)、浜通りで何が起きているか、今日明日にどのような医療が必要かを情報交換し、対応が話し合われてました。でも、最も大事な課題は、まず医者の心が壊れないようにすること。

医者でもこういうときに強い人と苦手な人がいます。これは平時の有能さとはほぼ関係なし。そこでこの会議では、危機になるほどアドレナリンが出る人が仕切ることになりました。毎回、どうしようもないようなギャグを誰かがいう事をノルマとすることで、会議では心の平穏を取り戻すことになりました。

壊れる要素はいろいろありました。これほどの災害で大勢の人が亡くなることは、医者といえども未経験だから仕方ありません。ほかにいろんなプレッシャーがありました。私にとって、おそらく多くの医師にとっても、もっとも辛かったのはガソリンがなかったことでした。水もなかったけど、大学にさえいれば飲み水に困ることはなかったし、トイレは不快だったとはいえ、それで死ぬことはないので。

ガソリンは、街ではほぼ入手できないので、各講座では、たしか40Lまで配給されてましたが、結局、うちでは使いませんでした。ただ、もし原子炉の冷却がうまく行かず大規模な爆発につながった場合、ぎりぎりまでとどまるにしても最後の段階では退避命令が出ることも想定されていました。私らはそれでも残ることにしてましたが、それにしても、ガソリンがあって行動の自由が確保された状態で残ることを選択することと、それがないままで、つまり残るしかないこととは、精神的に大きな違いがあります。

原子炉の中の温度に一喜一憂するなか、気持ちを軽くしてくれたのは、近くの講座の若い人が、残り少ないガソリン使って、温泉行ってきましたよ、と脳天気に話してくれたこと。意外とあの時期、山の上の方の温泉では営業しているところがあったのです。たぶん、この辺が福島の人のやさしさ。きっと、温泉は勝手にでてるわけだし、市内では誰もが水が出ないと困ってんだからと、いうことなんでしょう。

なんだか、それを聞いて、明るくなりました。この時期に温泉かよ、まったく、と口ではいったものの、そういう軽さは救いでした。深刻なだけでは持たないなと思ったものです。

そういえば、あの時期、お店の対応もはっきりと分かれていました。ガソリンスタンドでも、供給が極度に減った状態でも平時と同じ値段をつけてたところが大部分だった中で、値段をつり上げたところもありました。ま、商売の原点ではありますが。

タクシーでも、まったく対応が分かれ、最悪の時期でも、まったく普通に市内を走ってくれた松川観光というタクシー会社には今でも感謝しています。

ものがない、水もないなか、うちにはまだ材料があるのでとそれがつきるまでやるからと、いつもと同じ値段でパンを売ってくれてた小さなパン屋さんもありました。誰も最小限しか買わないので、いくつも買い込んでおきたいのをぐっとこらえて、だけど、たしか、何か言い訳しながら、3つか4つ買ってしまったのは、ちょっと恥ずかしかった。

もちろん、なによりも原発の中に最悪の時期でも捨てずに大勢の作業員が残っていてくれたことが最大の支え。政府には何も期待してなかったけど、普通の人の生きようという強い気持ちを知ったことが、あのときのぎりぎりの我々のメンタルを救ってくれたように思います。